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ITシステムが仕事をどう変化させていったのか、全ての企業、組織で存在する経理業務でみていくことにしましょう。

経理業務は、おおまかにすべて手作業の帳簿式会計、伝票式会計、伝票にカーボン紙が加えられた時代、コンピュータが導入された時代、さらに各部署で取引データが入力される時代、クラウド環境で取引データすら入力しないでよくなった時代の6つに分けられます。

 

経理はITでどう変わったのか?

会社の活動は、いろいろな取引から成り立っています。この取引から、経理上必要な取引情報を集め、簿記など定められたルールで、分類、整理、集計して会社としての利益、収めるべき税金など明らかにしていくのが経理業務、経理取引として判断される情報をどのようにして社内から収集するか、収集した情報を分類、集計して報告書にまとめあげる、大きく2つのステップに分かれます。

 

帳簿式会計の時代

「武士の家計簿」という映画には、江戸時代、加賀藩で経理処理を担当していた「そろばん侍」と呼ばれる武士が、大広間に20~30人くらいでしょうか、一日中そろばんで計算しながら、帳簿に記帳していくシーンが登場します。

加賀藩すべての会計取引を集計、処理しているのですが、非常に多くの人手がかかる作業であったことがわかります。

この時代は、会計取引を帳簿に記載する帳簿式会計、簿記のルールに従って取引を記録するのは、すべて経理で行われた時代でした。

 

伝票式会計の時代

帳簿が、徐々に伝票式会計にとって代わられる。伝票は、営業部門などでも、取引情報を記載、領収書、請求書などその取引が本当である証拠書類とともに、経理部に持ち込めば、経理部は、記載された内容をチェック、日付順に綴じておくことで、帳簿と同じものができあがる便利なものでした。伝票の導入により、帳簿を管理する人しか取引を記録できなかったものが、いろいろな部署で分散して記録できるようになったのです。

しかし、この伝票をもとにして、顧客別の売り上げを記録する売掛金補助元帳、仕入先別の取引を記録する買掛金補助元帳などへ、同じ内容を書き写す転記の作業は残ったままでした。

 

カーボン複写紙の導入

この転記作業を不要にしたのが、カーボン複写紙です。1枚の伝票を記入すると、複写紙により複数の伝票が複写され出来上がる、これを別々の帳簿、仕訳帳、買掛金補助簿などとして綴じることで、目的別の帳簿ができあがり、伝票の記載事項を別の帳簿に写し取る、転記といわれる作業を大幅に削減することができたのです。

 

コンピュータの導入

さらにこのカーボン紙を不要にしたのが、コンピュータです。各部が一枚の伝票を経理部に持ち込み、経理部でコンピュータに入力する、プログラムによりこのデータを並び替え、各種の補助元帳を自動的に作成、さらに決算書まで自動で作成される、経理で一番手間のかかる集計、作表作業を不要にしたのです。

当初の会計システムは、コンピュータの処理能力が限られたもの、入力用端末も高価で、経理部にしか設置されていないため、各部署から持ち込まれた伝票を経理部で集中して入力していきました。伝票は、会計帳簿ではなくコンピュータ入力のための用紙になったのです。

 

各部署でのコンピュータ入力

やがて、1995年Windows95が発売され、パソコンの価格も下がり、各部署にパソコンが配置されるようになってきました。経理部でまとめて入力していた会計データを各部で入力できる環境が整備されたのです。そのため、経理の知識が十分でない部署が勘定科目を意識しないでも入力できるよう、入力しやすいシステムが開発されました。

 

クラウドの時代

現在では、銀行の預金通帳や、クレジットカードの明細がデータ化されており、これを会計システムに取り込めば、取引先から自動的に仕訳を起こすシステムがクラウド環境で提供されています。クレジットカードにJRとあれば、交通費と判断するなど。さらに、税務申告もe-Taxで電子的にできるようになっています。

 

ざっと、入力を中心に、そして経理業務でも勘定集約といわれる部分を中心に経理業務の変遷をみてきました。もちろん、経理の業務には、これ以外にも支払いや入金処理、固定資産の処理など様々な仕事があるのですが、同じように自動化が進められてきました。