情報サービス産業のなかで過半を占める受託開発では、技術者の人月単価をベースに契約していくことが多い。そのため、特にシステム開発の需要が旺盛なときは、技術者の採用が成長の要件となる。要員数増加と売上高の関係についてデータを使って検証してみた結果が以下である。

1990年から2000年で従業員数、売上高が取れる企業58社を対象に、ベンダー系、独立系、ユーザー系という区分で分析してみた。

全体の単相関係数の絶対値:0.51 相関がある

・ベンダー系:0.68 相関がある

・独立系:0.55 相関がある

・ユーザー系:0.93 強い相関がある

1人当たりの売上高の平均伸び率

・ベンダー系:18%

・独立系:43%

・ユーザー系:26%

以上の検証結果から、「要員数が増えれば売上高が増える」は、全体としては強い相関があるとはいえない、と考えられる。1990年から2000年の10年間では、ユーザー系企業は、親会社のブランド力を背景に採用を活発化、要員を増加させ、売上高を伸ばしてきた。一方、独立系は、ユーザー系、ベンダー系の影響で十分採用数が伸ばせないため、外注業者を組み入れることで1人当たりの売上高を伸ばしてきたと推察される。

特に、人月単価により売り上げを伸ばす受託開発では、要員数がその売り上げに大きく影響する、人がいなければそもそも受注できないことになる。しかし、社員でなくとも、外注社員を機動的に動員できれば受注は可能となり、売上を伸ばすことが可能となる。情報サービス産業の場合、人がいれば起業が可能、小規模な企業が裾野を拡げていればこれを動員することも可能となる。