IT導入で成功を得るには、しっかりとしたビジネス戦略があってのことです。よく、「ITシステムを導入すれば経営革新ができる」という誤解を耳にします。

かつて、ある米国製ERPシステムの導入を大手建設会社に向けて実施していました。導入範囲は、経理システムだけ、担当の経理部長より、「このERPを導入すれば、アメリカ最新の管理会計システムが導入されるのだから、期待しています」というような話をされました。導入予定のERPは、日本語化されて間もなくで、自身よく機能がわかっていないころだったのですが、なんとかソフトウェアの機能を理解しようと努めましたが、どこがアメリカの最新管理会計なのか、見当たりません。

管理項目として事業部別、製品別などの項目は設定できるのですが、これは既存システムでも可能、結局管理会計のノウハウのようなものはまったく存在しないということがわかりました。

そもそも、管理会計というのは、その企業がどのような基準で損益を管理していくのか、事業部別、製品別、地域別など決めることから始まります。建設会社であれば、北海道、関東、九州などの地域別、また建設工事、土木工事などの工事種別、自社の経営を何でみていくのかにより決定されるのでしょう。それによって、システムに投入するデータが決まってくるのです。購入したソフトウェアが教えてくれるようなものではありません。