ユーザー系の情報子会社の場合、親会社のシステム開発を実施するという役割を担う一方、親会社以外の顧客を開拓、情報サービス産業のなかで成長していくという役割も存在する。外部顧客開拓にリソースを集中しようとすれば、親会社の社内システム開発がおろそかにされるという不満が親会社より寄せられることになる。どのようにこのバランスを取り、情報サービス産業のなかでのポジションを獲得するかは、親会社の情報サービス産業に対しての方針に大きく左右される。

トヨタのシステム子会社トヨタコミュニケーションシステムのホームページには「株式会社トヨタコミュニケーションシステム(TCS)」は、トヨタグループ各社のグローバルなIT戦略をサポートする会社です」とある。高い成長を遂げてきたトヨタにとって、情報サービス産業は、社内リソースを向けるべきでなく先ではなく、トヨタグループでのITシステム整備に向けられるものとの考えがわかる。

社内システム整備で蓄積された豊富な人材を持つ大企業の情報子会社ではあるが、一方で情報サービス産業での成長を考えたときに、親会社システム構築に向けるリソースを維持、充実させるというミッションも持っていることが情報サービス産業での成長を抑制させる要因ともなる。