集中と分散は、システム化の基本となる考え方といえましょう。分散している業務プロセスを集中することで大きな省力化効果を生むことができます。ITによりネットワークで地理的に離れている拠点間の業務を容易に共有することができるようになったというのは、コンピュータがオフィスに導入されてから一貫して進んできています。
かつてシステム化に関わった建設会社では、銀行の預金を管理、接待で現金が必要になった営業マンに現金をそろえて用意するなど、現預金の出納業務を各都道府県にある支店ごとに保有していました。システム化とともに、この各支店での現金出納業務を本社に集中、各支店での業務は廃止しました。事前に現金が必要になった、営業の方には、コーポレートカードを持たせ、これにより接待などでの支払いをしてもらうようにしました。
社員の立て替え払いには、各社員に指定銀行の口座を開設してもらい、会社がここに振り込みをする方式に変更しました。
各支店の出納部署を廃止するために、各社員が立て替え払いなどの精算を自身でできるように、経費精算のシステムを導入しました。セルフサービスといわれるものです。これが、分散になります。
現金出納業務を本社に集中、要員の合理化を推進するため、これまで出納部員を介して実施していた業務を直接各社員が実施するよう分散させたのです。これが集中と分散になります。
あらゆるシステムでは、データが発生した場所で入力してもらう。発生したデータを紙になどに記録してこれを専門の担当者が入力するというのを廃止して、データが発生した場所で入力してもらう、発生源入力を推進してきました。そのために、データ入力に不慣れな方でも対応できるように入力しやすいシステムを構築することで、中間作業としてのデータ入力廃止、データ入力を分散させる取り組みが推進されてきました。
経理や人事、購買などどのような企業にも共通して行われる業務を抱える大企業では、企業グループとしてこの集中化が推進されてきました。シェアドサービスということで、業務のアウトソーシングと合わせて進められ、サポート業務の省力化に大きな効果を発揮したのです。
P&Gは、世界全体で社員数12万、の巨大企業ですが、経理、人事、購買、IT、施設管理をサポート業務として、労働コストの安価な世界6つの拠点で処理、業務の標準化とともにコスト削減が推進されています。
集中と分散が地球規模で行われているケースで、多国籍企業では同様な取り組みを進めているケースが多くみられます。