Businessweekの2016年8月29-9月4日号に、「ブロックチェーンが会社を継ぎ目のないネットワークで結ばれたフリーランサーの集合に変えていく」という巻頭言がありました。ブロックチェーンは、仮想通貨の一つビットコインを考案した、サトシ・ナカモト氏が発案した仕組み、現在の決済は、銀行やVISAなどのクレジット会社を経由、第三者機関を通じて行う、中央集権的な機関が必要、ブロックチェーンでは、取引に伴う情報が公開され、相互監視されるためこの第三者機関が不要になるというもの、ブロックチェーンの考え方は、いろいろな方面に発展、現在のような会社組織はなくとも仕事ができるといのもその一つの考え方です。記事によれば、会社の活動は、指示と管理により遂行されている、ブロックチェーンを利用すれば官僚組織を利用しないで、フリーランサーの集合体を組織化できるという。先進的なUberやAirbnbすらも、現在の運営会社なしで実施できる。

インターネットは、社外のリソースを探し、契約して成果物を得ることを容易にした、

現在は、雇用契約を結んで社内のリソースとして確保しておくほうが、個別のタスクごとにフリーランスを探し、契約していくよりもはるかにコストがかからない、しかしブロックチェーンの技術が進めば、フリーランスと案件ごとに契約していくコストが低減できる、雇用契約なしで、フリーランスの集合体が会社を形成できる。指示も管理もなくなるというものです。

記事には、実現するには、多くの課題があることも書かれています。会社がなくなるというのは極端な話としても、自身が働き始めたころから考えると、会社と個人の関係は大きく変化してきました。雇用形態のなかで、非正規の雇用が40%を占めるという。職場では、正社員に加え、限定正社員、派遣社員、業務委託、また外国人の雇用も業種によっては珍しくない。働く場所も在宅勤務など多様化していく。コミュニケーション手段も、メールからSNS、相手の顔を見ながらの通話もスマホで可能な時代。

仮に全員がフリーランスになると、各個人が何をできるのかが問われる時代になる。大企業に就職することが目標、入ってしまえばどうにかなるという時代は既に過去のもの、IT化、グローバル化は、各個人に何ができるのか、何をしたいのかをより強く求めるように思えます。

しかし、驚くような変化ではない。個人の力量がほとんど全てなのは、スポーツ選手の世界、職人の世界などでは当たり前のこと、会社で働く個人にとっても当たり前のこと、原点に返っていくだけなのでしょう。

UberやAirbnbといった革新的な企業、考えようによっては、友人を自分の車に乗せてやる、自分の家に泊めてやるといったシンプルな考えをITで、世界規模のビジネスに発展させたともいえます。個人間の物々交換のような取引も増殖している、貨幣経済で把握できない動きも大きくなっていると聞きます。

ITを、「企業を中心に複雑に構築されたシステム、仕組みを解体、シンプルに戻していく道具」とするならば、各個人の働き方も原点回帰、考え直す必要があるのでしょう。