「会社を元気にするIT」は、聞かないけれど、「元気な会社」というのは、よく耳にします。成長を遂げている、社内が活気にあふれている。

逆に、会社が倒産してしまう、廃業、といえば「元気がない」会社の末路といえます。

 

2013年3月末、日本証券協会に加盟する会社が1年間で24社減少、261社となったと発表されました。証券会社の約1割弱が廃業や業種転換などで、1年間に証券業界から退く、このなかには、創業90年の赤木屋証券など老舗の証券会社も含まれていたとのことです。元気をなくし、最後をとげた。

金融は、最近では、フィンテックが話題になるように、ITを駆使した技術革新が業界を変貌させると予想されているように、ITに大きく影響された業界です。

この変化が明確になったのが、1999年の売買手数料完全自由化、これがインターネットを利用したネットトレードの実用化と時期が重なり、現在では個人投資家の8~9割がネットトレードで売買を実施するといわれ、大手ファンド会社では、コンピュータが高速で取引を繰り返す、トレーディングシステムを適用、AIを駆使、個人投資家ではとても太刀打ちできない取引が行われています。

廃業となった証券会社の伝統的な歩合制の証券外務員が富裕層への証券取引の仲介をするビジネスモデルでは、業界に残ることは難しくなったのでしょう。ITの進化についていこうとすれば、多額のシステム化投資が必要とされ、また社内にもITの専門家が必要となりますが、中小証券会社には、難しく、廃業を余儀なくされたとも考えられます。IT化が中小証券の廃業を迫ったのでしょう。

しかし、金融ビッグバンをきっかけにして元気になった、急成長を遂げた会社もあったのです。弱小証券会社が手数料の自由化をきっかけに大きく成長したのです。「松井証券」です。そう、松井証券は、「会社を元気にするIT」で元気になったのです。でも、なぜそんなことができたのか、今から20年前、その分かれ目が訪れたのです。