1998年から2005年にかけて売上高成長率平均を計算、独立系企業だけ上位15社を抜出すると、一番上位にあるのがDTSで平均10%だが、下位の4社は、マイナス成長となる。

合併などにより大きな成長率となっている年もあるが、これを除くと全体の傾向として、ITバブル崩壊の影響により、2003年から2005年は、マイナス成長を含む低成長となっている。一見してわかるのは、DTSの9.9%から15番目の-4.5%となった企業まで、数値の振れ幅が大きい。

親会社のシステム開発を請け負うというビジネスを安定的に持つ、ユーザー系、コンピュータベンダーの子会社として親会社が受注したシステム開発を請け負うというベンダー系と比べて独立系は、経営者の裁量が大きく、ハイリスクの分野に挑むなど、経営の自由度が大きく、結果として売上高成長率に大きな差異が生まれると考えられる。

長らく、独立系最大手であった旧CSK社は、金融サービス事業、特に不動産投資事業により、2008年のリーマンショックの影響で大きな打撃を受け、これが2011年旧住商情報に吸収合併される原因となったが、情報サービス産業以外への投資に手を伸ばすなど、経営の自由度が招いた失敗が大きかったと思われる。

DTS社の2013年版Fact Bookによれば、セグメントとしては、一番大きなシステムが62.4%であるが、人材派遣が6.9%、オペレーションが22.7%となっている。独立系としては、一番高い平均した売上高成長率のDTSではあるが、比較的収益性の低い、運用オペレーションや人材派遣などもビジネスとして残しており、情報サービス産業のなかで地道な成長を遂げてきたことがわかる。他社を圧倒するイノベーションで大きく成長することが考えにくい情報サービス産業では、ハイリスクの投資を避け、地道な成長を着実に進めることが一番の成長につながるともいえる。