上の表は、5大商社各社の情報子会社について売上高推移をグラフにしたものである。(商社本体でハードウェア、ソフトウェアを扱っている、上記表以外の子会社がシステム関連を手掛けているなどのケースもあるかもしれないため、上は抽出した会社のみのデータとなる)伊藤忠テクノサイエンス、SCSKが大きく売上高を伸ばしているのに対して、他3社はそれほど大きな伸びを見せていない。
SCSKについては、CSKとの合併が売上高を伸ばす大きな要因となっている。
また、受託開発が主であるSCSKに対して、伊藤忠テクノサイエンスは、サンマイクロ(現オラクル)やシスコシステムズなどのハードウェア、システム機器、ソフトウェアを販売するシステムディーラーとしてのビジネスが主体であり、輸出入を主とする商社としてのビジネスという側面が強いことが、ホームページ記載の資料から推察できる。IBM、富士通、日立といったベンダーによる汎用機を主にしたシステムから、UNIXサーバー等、オープンなシステムが主流な時代に移行する流れのなかでサンマイクロやシスコシステムズと代理店契約を締結、汎用機に代わるサーバー市場が成長するなかで販売額を伸ばしていったのだろうか。
5大商社の情報子会社についてその概況をみていくと、情報子会社が情報サービス産業のなかで積極的にビジネス展開するかどうかは、親会社の方針に大きく左右されるであろうことが考えられる。総合商社最大手の三菱商事は、情報子会社の株式を49%しか保有していない。(2017年当時)資源関連など巨額のビジネスを展開している総合商社にとって、情報子会社の売上は規模としてそれほど大きなものではない。親会社の社内システム構築の役割を主と考えれば、情報子会社の役割として社内リソースを親会社向けシステムに投入することを主に考えたとしてもおかしくない。
伊藤忠商事の場合、伊藤忠テクノサイエンスが上場、上場益が大きな損出を抱えた親会社の負債解消に貢献している。三井、三菱、住友といった財閥系商社より、資源関連などのビジネスで遅れを取る伊藤忠商事にとっては、システムディーラーとしてのビジネスは、強く着目、推進すべきものであったのだろうか。